入金消込が毎月終わらない会社に、共通していること
金額が合わないときに確認したい5つの例を整理。振込名義、一部入金、合算、手数料、相殺。担当者の記憶で吸収している状態から抜けるための手順です。
月初の数日が、毎月そのために潰れている。担当者が休むと止まる。 入金消込では、金額が一致しない取引の確認に手間がかかることがあります。この記事の社名・金額・会話は説明用の架空例です。
後回しになっているものを、件数と原因に分けて整理してみます。
まず確認したい5つの原因
原因を考えるための代表的な確認項目です。これ以外の原因もあるため、差額を推測だけで処理しないでください。
| 原因 | 何が起きるか |
|---|---|
| 振込名義が請求先と違う | 親会社名義、代表者の個人名義、屋号。通帳の文字列から会社を特定できない |
| 一部入金 | 100万円の請求に対して60万円。残りは翌月か、値引きの合意があったのか |
| 合算入金 | 3件の請求がまとめて1本で振り込まれる。内訳が書いていない |
| 振込手数料 | 440円引かれて着金。請求どおりでないので、自動照合から漏れる |
| 相殺 | 買掛と差し引いて振り込まれる。差し引いた根拠はどこにも書かれていない |
どれも「例外」ですが、例外のほうが手間の大半を占めます。 そのまま合うものは最初から合っていて、残った例外だけが手元に積まれるからです。
本当の問題は、記憶で吸収していること
慣れた経理担当は、これを全部知っています。
「〇〇商事は、いつも代表者の個人名義で振り込んでくる」 「△△建設は、手数料をこちら負担で引いてくる」 「□□工業は、必ず翌月にまとめて2件ぶん」
この知識は、どこにも書かれていません。頭の中にあります。 だから、その人が休むと止まり、辞めると引き継げません。
新しい人が入ると「なぜこの入金がこの請求に当たるのか」を、 毎回ゼロから調べ直すことになります。引き継ぎで確認が増える原因の一つです。
今日からできること
道具を買う前に効くものが3つあります。
1. 振込名義の対応表を作る
迷う相手は、毎月同じです。通帳に出る文字列と、請求先の対応表を1枚作ってください。
カ)タナカコウムテン → 田中工務店(株)
タナカ ジロウ → 田中工務店(株)代表者名義
マルマルシヨウジ(カ → 〇〇商事(株)
対応表は確認の手掛かりです。振込名義が同じでも、毎回同じ請求への入金とは限らないので金額や対象期間も照合します。
2. 振込手数料の扱いを、先に決めて紙にする
「どちら負担か」を取引ごとに毎回考えているなら、そこが遅さの一因です。 取引条件として先に決め、請求書にも明記する。 決まっていれば、440円の差額は例外ではなくなります。
3. 請求番号を、最後まで通す
見積・請求・入金の問い合わせで、同じ番号が使われていない会社はかなりあります。 番号が通っていれば、社内の確認も取引先とのやりとりも一気に短くなります。
それでも人手が限界になる線
上の3つをやっても残るのは、データが別々の場所にあることから来る手間です。
請求の情報 Excel(担当者のPC)
入金の情報 ネットバンキングの画面
消込の結果 別の Excel
仕訳 会計ソフト
同じ金額を、3回も4回も打っています。 1回でも打ち間違えれば、合わない原因が1つ増え、その原因を探すのにまた時間がかかる。
件数だけで限界は決まりません。二重入力や未確認の取引が積み上がるかを見ます。 そして苦しくなり方は決まっていて、まず督促が止まります。 消込が終わらないので、誰が未入金なのか分からず、催促できない。 そのあいだ、売掛金は寝たままになります。
「早く終わらせる」より「毎日少しずつ」
月初にまとめてやるから終わらない、という面もあります。 入金データを毎日取り込んで、その日の消込をその日にやる形にすると、 月初に確認が集中するのを避けやすくなります。所要時間は件数と例外の内容によります。
進めるための条件の一つは、請求のデータと入金のデータが、同じ場所にあること。
- 銀行のデータを取り込める
- 請求の一覧と突き合わせて、候補を出せる
- 例外(一部入金・合算・手数料)を、記録として残せる
- 消込の結果から、そのまま督促と仕訳に進める
ここまで揃うと、頭の中にあった知識が、仕組みの中に移ります。 担当者が不在でも確認できるか、実際に別の人と試してください。
まず数えてみる
判断のために必要な数字は3つだけです。
月あたりの入金件数
そのうち、そのままでは合わない件数(例外の割合)
消込に使っている時間(人数 × 時間)
同じ確認や転記が繰り返されているなら、運用の整理とシステムの導入を比較する材料になります。特定の割合や時間だけで導入の必要性は決まりません。
よくある質問
入金消込に時間がかかるのは、件数が多いからですか?
件数よりも、例外の多さが効きます。振込名義が請求先と違う、複数の請求がまとめて振り込まれる、手数料が引かれている、といった例外は確認に時間がかかる場合があります。件数が同じでも、例外の割合が高い会社ほど終わりません。
会計ソフトを入れれば解決しますか?
会計ソフトは仕訳を作るところが仕事なので、どの請求に対する入金かを決める作業は残ります。請求のデータと入金のデータが同じ場所にあって、突き合わせた結果が残る形になっていないと、照合そのものは楽になりません。
担当者が1人しかいません。何から始めればいいですか?
振込名義と請求先が違う取引先の一覧を作ることからです。同じ相手の確認が続いている場合、根拠と確認日を残した対応表が次の担当者の手掛かりになります。