中小企業の基幹システム、実際いくらかかるのか

月額だけを比べても判断できません。設定・移行・教育・改修・止まったときの費用まで含めて、3年の総額で並べる方法。稟議に貼れる形にしました。

更新 2026-08-28約3分基幹システム導入バックオフィス 文責:石田 竜誠(Stroka運営)編集方針

「基幹システムって、いくらぐらいですか」と聞かれたときに、 金額だけを答えても役に立ちません。同じ金額でも、含まれているものが違うからです。

ここでは、稟議に貼れる形で費用の並べ方を書きます。

選択肢ごとに、費用の発生場所が違う

市場全体の価格調査ではなく、見積を比較するための整理です。製品・規模・支援範囲で金額は変わります。

選択肢 確認する費用 運用で確認すること
Excelを続ける ライセンス・保管・作業時間 更新者と履歴が追えるか
パッケージを使う 月額・人数追加・導入支援 標準機能で自社の業務が回るか
ノーコードで作る 利用料・作成と保守の時間 作った担当者以外も保守できるか
開発を依頼する 設計・実装・保守・改修 必要な範囲と変更の手順が明確か

どの選択肢でも、外部への支払いと社内の作業時間を分けて確認します。「Excelなら0円」と置くと、既存の運用にかかる手間が比較から抜けます。

月額以外の確認項目を、見積に添える

項目 提供元に確認すること
データ移行 対象期間・件数・整形作業・再取り込みの範囲
教育 操作説明の回数と、追加時の費用
改修 契約に含む変更と、別見積になる変更
並行運用 期間と、二重入力を誰が担当するか
障害対応 連絡先、対応時間、復旧とバックアップの範囲

移行や教育が含まれる契約もあります。別途費用と決めつけず、見積書の中で何が含まれているかを確かめます。月末の切り替えを想定するなら、その時期の社内負担も見積もります。

3年の総額で並べる

稟議に出すなら、この形にしてください。

初期費用
+ 月額 × 36
+ 移行(一度きり)
+ 教育(人数 × 時間 × 時間単価)
+ 改修の見込み(年 ◯回 × 単価 × 3)
─────────────────────
= 3年の総額

そして、比較対象は「今のまま」を必ず入れること。 今のままにも費用はかかっています。

転記にかかっている時間     月 ◯時間 × 時間単価 × 36
間違いの手直し             月 ◯件 × ◯時間
引き継ぎ・属人化    担当が辞めたときに止まる日数

「今のままは0円」と書いた稟議は通りません。 0円でないことを数字で見せるところが、この作業のいちばんの山場です。

判断は、結局この1問で決まる

自社のやり方を、標準に寄せられますか。

寄せられるなら、パッケージが速くて安い。寄せられないなら、作るしかない。 そして「寄せられない」と言う会社の多くは、実は寄せられます。

寄せられない本物の理由は、こういうものです。

  • 大口の取引先から、指定の様式で出すよう求められている
  • 業界固有の商習慣(歩引き、手形、出来高、材工分離など)が金額計算に入っている
  • 官公庁の提出物に、決まった帳票がある

一方で、寄せられるのにやめてしまう理由もあります。

  • 「前からこうやっているから」
  • 「〇〇さんがこの形で作ったから」
  • 「Excel のこの色分けが無いと分からない」

後者しか出てこないなら、標準に寄せたほうが、3年の総額は確実に安くなります。

全部入れ替えなくていい

もうひとつ、費用を大きく左右するのが入れ替える範囲です。

会計ソフトは変えなくていい。給与も変えなくていい。 変えるのは、いま Excel と紙でつないでいるところだけにする。

見積 → 請求 → 入金 → 書類     ここを1本にする
会計                            仕訳データを渡すだけ
給与・勤怠                      触らない

範囲を絞ると、移行も教育も並行運用も軽くなります。 全部入れ替える計画は、たいてい途中で止まります。

最短で判断するための3つの数字

見積を取る前に、社内でこれだけ数えてください。

1  月あたりの請求件数
2  同じ金額を打ち直している回数(見積→請求→会計で何回か)
3  経理・事務にかかっている時間(人数 × 時間)

この3つがあれば、どの選択肢が現実的かは、その場で分かります。 そして、この3つを聞かずに金額だけ出してくる相手は、避けたほうが安全です。

よくある質問

中小企業の基幹システムは、だいたいいくらぐらいですか?

製品、利用人数、導入範囲で変わるため一律の相場は示せません。月額とあわせて、たとえば3年の総額で比べます。初期の設定費用、データ移行、教育、年に数回の改修、そして今のやり方を変えるためにかかる社内の時間まで含めると、月額の差は総額の一部でしかなくなります。

見積に出てこないのに、あとから効いてくる費用はありますか?

3つあります。データ移行(過去のExcelをどこまで入れるか)、社内教育(使えるようになるまでの人件費)、そして改修(運用中に必要になる変更)です。契約に含まれる場合と別途見積になる場合があるため、事前に範囲を確認します。

自社開発とパッケージ、どちらを選ぶべきですか?

自社のやり方を変えられるかどうかで決まります。変えられるならパッケージのほうが速く安く済みます。変えられない事情(業界固有の商習慣、大口取引先の指定様式など)があるなら、無理に合わせるより作るほうが結果的に安くなることがあります。

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